住宅を購入するとき、多くの方が火災保険の加入も検討します。しかし、火災保険を販売している保険会社は数多くあり、どの保険会社をどのように選んでよいのかわからない人が多いかと思います。そこで、適切な火災保険選びができるように火災保険の選び方を紹介します。
1.火災保険の対象を決める
まずは火災保険をかける対象を決めましょう。建物のみにかけるか、家財のみにかけるか、建物と家財の両方にかけるかの3通りが考えられます。建物に付随して動かせない部分は「建物」、動かせるものは「家財」での補償となります。例えば、浴槽や物置、車庫などは建物、テレビや冷蔵庫、衣服などは家財の補償の対象です。なお、自動車は建物にも家財にも入りません。自動車の損害は自動車保険の車両保険などで補償を受けることとなります。
2.構造級別を確認する
火災保険は建物の構造によって保険料が変わります。建物が燃えにくい構造であるほど保険料は安く、燃えやすい構造であるほど保険料は高くなります。この区分は構造級別と呼ばれていて、住宅物件(専用住宅)はM構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)の3つに、一般物件(店舗併用住宅)は1級、2級、3級の3つに分かれています。以下の表を参考にしてください。
構造級別 | 建物の種類 |
---|---|
M構造 | 耐火建築物の共同住宅(例:コンクリート造のマンション) |
T構造 | 耐火建築物の専用住宅、準耐火建築物、省令準耐火建物(例:鉄骨造の一戸建て) |
H構造 | M構造・T構造のどちらにも該当しない建物(例:木造の建物) |
どの構造か分からない場合は、建物の設計書や仕様書、施工メーカーなどで確認してください。
3.補償範囲を決める
火災保険の補償範囲を決めます。火災保険は単に火災の時のためのものではなく、自然災害や日常のトラブルなどでも利用することができます。そのため、すべての補償をカバーするとその分保険料も高くなります。
「マンションの高層階に住んでいるので水災補償は必要ない」など自分が住む住宅の環境を考えて必要な補償を考えるようにしましょう。どのような補償が必要なのか分からない場合は自治体が公表しているハザードマップなどを活用してみるのも一つの手でしょう。
4.保険金額を決める
保険金額(保険金の限度額)をいくらにするのか決めましょう。
まずは、建物の保険金額についてです。建物の保険金額は建物の評価額に応じて決まります。建物の評価額は新価(再調達価額)と時価の2つの基準がありますが、最近は基本的に新価での契約となります。時価での契約の場合、年を経るにつれて支払われる保険金の額が下がっていくので、修復や再調達に必要な金額を補償として得られない場合があります。詳細な建物の評価額については以下の記事をご確認ください。
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火災保険の建物評価額はどうやって決める?
火災保険の建物の保険金額を決めるためには建物の価値(建物評価額)を決める必要があります。1,000万円の価値の建物に5,000万円の保険をかけることはできないの ...続きを見る
次に家財の保険金額についてです。家財の保険金額は建物と違って制限されていない保険会社が多いので、必要な補償額と自分が支払える保険料のバランスを考えて決めるようにしましょう。なお、保険金額をいくら大きくしても支払われる保険金は損害額の分だけです。必要以上に保険金額を上げても保険料の無駄になるので注意してください。
家族構成 | 2名 大人のみ | 3名 大人2名 子供1名 | 4名 大人2名 子供2名 | 5名 大人2名 子供3名 | 独身世帯 | |
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世帯主の年齢 | 25歳前後 | 490万円 | 580万円 | 670万円 | 760万円 | 300万円 |
30歳前後 | 700万円 | 790万円 | 880万円 | 970万円 | ||
35歳前後 | 920万円 | 1,000万円 | 1,090万円 | 1,180万円 | ||
40歳前後 | 1,130万円 | 1,220万円 | 1,310万円 | 1,390万円 | ||
45歳前後 | 1,340万円 | 1,430万円 | 1,520万円 | 1,610万円 | ||
50歳前後 (含以上) | 1,550万円 | 1,640万円 | 1,730万円 | 1,820万円 |
専有面積 | 33㎡未満 | 33㎡~66㎡未満 | 66㎡~99㎡未満 | 99㎡~132㎡未満 | 132㎡以上 |
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保険金額 | 450万円 | 880万円 | 1,050万円 | 1,490万円 | 1,980万円 |
※簡易評価表には明記物件の額は含まれていません。
※上表は家財簡易評価表の一例です。保険会社によって評価額が異なる場合があります。
5.契約期間を決める
火災保険の契約期間は1~10年の1年単位です。契約期間が長いほど割引率が高く、保険料が安くなります。保険会社によっても異なりますが、同じ補償内容で1年契約を10年間繰り返すよりも10年契約をした方が概ね18%の割引を受けることができます。なお、契約期間の途中で引越しや売却などで解約したとしても経過期間に応じた解約返戻金が受け取れます。払い込んだ保険料の残りがすべて無駄になるということはないので安心です。
なお、長期契約の場合、一括して保険料を支払うのは大きな負担となります。もし一度に支払うのが難しい場合は長期年払という方法もあります。保険料を一括して支払うのではなく年払で支払うのです。ただし、この場合は保険料の割引率が小さくなります。また、保険会社によって契約できる期間にも違いが出てきます。詳しくは保険会社または代理店にご確認ください。
6.地震保険を付帯するか決める
地震保険は火災保険とセットでしか加入することができません。地震保険に加入していると、火災保険だけでは補償を受けられない地震・噴火・津波を原因とする損害も補償を受けることができます。日本は地震大国であり、甚大な被害をもたらす地震がいつどこで起こっても不思議ではありません。地震による損害に備えたいのであれば地震保険を付帯しましょう。なお、地震保険は国と保険会社が共同して運営する保険であり、契約する保険会社によって違いは生じません。
7.火災保険一括見積もりを利用する
1.~6.のことを決めたら、火災保険一括見積もりサービスを利用しましょう。火災保険一括見積もりサービスとは、一度の情報の入力で複数の保険会社から火災保険の見積もりを取得できるサービスです。
火災保険の保険料は保険会社によって異なります。火災保険一括見積もりを利用することで、保険料の安い保険会社を見つけることができます。各社の補償内容と保険料を見比べて最適な保険会社選びをするようにしましょう。