朝起きて外に出たら壁に落書きされていた…、塗装し直すのに大きな費用がかかるという場合、何とか自己負担額を減らしたいと思うことでしょう。家に関することで被害を受けたのであれば火災保険を使えそうですが、実際のところ火災保険は使えるのでしょうか?
目次
火災保険は火災に対する補償だけではない
火災保険は「火災」保険という名前をしていますが、火災以外にも自然災害や日常的なトラブルなどで住まいに損害を負ったときに補償を受けることができます。火災保険の保険金の支払件数についても火災以外での損害での支払いの方が多くなっています。もしも火災にしか使えないと勘違いしていたのなら、保険証券などでどのような補償内容になっているのか確認しましょう。
事故種別 | 2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | |
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火災、破裂・爆発 | 8,058 | 7,574 | 7,500 | 7,150 | 6,932 | |
落雷 | 31,223 | 30,842 | 26,423 | 16,408 | 20,227 | |
自然災害 | 風災・雹災 | 104,308 | 69,299 | 68,796 | 148,551 | 87,933 |
雪災 | 33,388 | 205,864 | 23,812 | 30,924 | 45,331 | |
水災 | 3,860 | 3,549 | 3,379 | 3,608 | 1,907 | |
その他 | 水濡れ | 32,260 | 33,785 | 35,376 | 40,152 | 38,290 |
水濡れ以外 | 126,328 | 121,141 | 132,516 | 167,264 | 162,942 | |
合計 | 339,425 | 472,054 | 297,802 | 414,057 | 363,562 |
※件数は対象年度に発生した事故に対して、当該年度および翌年度に支払った件数を集計したものです。
※「その他(水濡れ以外)」は、盗難、物体の落下、破損・汚損、電気的・機械的事故および地震火災費用等に対する保険金を集計したものです(不明を含みます)。
出典:損害保険料率算出機構「火災保険・地震保険の概況(2018年度)」
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落書きに火災保険は使える?
家の外壁やシャッターなどに落書きされてしまったという場合、契約している補償内容や保険会社の判断にもよりますが、火災保険で補償を受けることができる可能性があります。
スプレーでの落書きは物体の落下・飛来・衝突
火災保険の補償内容に建物外部からの物体の落下・飛来・衝突が含まれていれば、スプレーでの落書きに対して補償を受けられる可能性があります。スプレーの塗料が飛来してきたという考えです。この補償は今回のようなスプレーでの落書きの他に、ヘリコプターから荷物が落下してきた、石を投げ込まれて窓ガラスが割れた、自動車が建物に衝突してきたというような場合に使うことができます。
ペンキでの落書きは破損・汚損などが適用される場合も
スプレーではなくペンキで落書きをされたという場合は塗料が飛来したと考えることができないので、基本的に物体の落下・飛来・衝突では補償を受けることができません。この場合では、不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)という補償で補償を受けられる可能性があります。
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火災保険の不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)はどんな場合に補償される?
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これは、事前に予測して防ぐことができず、突発的な事故によって建物や家財を破損・汚損させてしまった場合に保険金を受け取れるというものです。機能に問題なく単なる外観上の損傷では補償を受けられませんが、落書きによって外観を著しく損なうのであれば補償を受けられる可能性があります。保険会社の判断によりますので、落書きされてしまったという場合は保険会社に補償の対象となるのか確認してみましょう。
子供が壁紙に落書きしてしまったという場合は?
見知らぬ誰かによって外壁に落書きされてしまったのではなく、自分の子供が家の中の壁紙に落書きしてしまったという場合は、程度によりますがペンキのときと同様に不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)で補償を受けることができる可能性があります。この補償では、子供がボールで遊んでいて窓ガラスを割ってしまったという場合や、掃除機をかけていたらドアにぶつけてしまってドアが壊れたというような場合でも補償を受けることができます。
不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)はうっかり傷つけてしまったモノに対して保険を使うことができるというのは何か得をしたような気分になる補償ですが、その分保険料を支払っていることを忘れてはいけません。この補償が契約内容に含まれているのであれば、保険料の無駄にならないようにどのようなときに使うことができるのかしっかりと確認しておきましょう。
まとめ
家の外壁やシャッターに落書きされてしまったという場合、落書きの程度や契約内容などにもよりますが、火災保険で補償を受けることができます。落書きが補償の対象になるか契約している保険会社や代理店に確認してみましょう。
また、補償内容を確認する中で火災保険の契約内容や契約先を変更したいと感じたのならば、一度火災保険一括見積もりサービスを使ってみましょう。同じ内容で複数の保険会社にまとめて見積もりを依頼できるので、自分の条件に合った火災保険を見つけやすいです。利用は無料です。ぜひ一度利用してみてください。
著者情報
堀田 健太
東京大学経済学部金融学科を卒業後、2015年にSBIホールディングス株式会社に入社、インズウェブ事業部に配属。以後、一貫して保険に関する業務にかかわる。年間で100本近くの保険に関するコンテンツを制作中。